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『おしえて ぼくらが持ってる働く権利』はじめに

はじめに

 アルバイトも派遣スタッフも契約社員もパートタイマーも、もちろん正社員もみんな労働者。労働者っていうのは、誰かに雇われて働く代わりに、賃金(給料)を受け取って生活する人のこと。雇う人より雇われる人のほうが立場が弱くなりがちなので、労働者が安心して健康に働けるよう、法律によって権利が守られているんだ。裁判の判決の積み重ねによって社会的に合意された基準も適用される。
 残念なのは、働くことに関する法律や解決方法があまり知られず、活用されていないこと。なぜ知らないんだろう。
 知る機会がなかったからじゃないだろうか。
 15歳から35歳を対象にした若者の就職相談などに応じる就労支援機関のスタッフから、こんな話を聞いた。
 働く気のない若者が増えているというような認識が広まっているけれど、相談者の約8割はすでに働いた経験がある。退職理由の約半数は、働きすぎ・低賃金・雇用契約違反で、残り半数は解雇・契約切れ・将来への不安によるものと人間関係に原因がある――という。
 過重労働で退職したり、転職を希望している人は、例えばこういう働き方をしていた。
・アルバイトでファストフード店に勤務して5年になる。契約社員にならないかと声をかけてもらっているが、朝6時から夜12時まで働いても残業代は出ないといった社員の働き方を知っているので、別の仕事に就きたい。
・4年間プログラマーをしていたが、残業は月200時間を超え、朝3時からミーティングがあった。血を吐いて、鼻血も出て、うつ病になった。死ぬことを考えたが、何とか社会復帰した。事務系の仕事を希望している。
 そのスタッフは、「働く気がないどころか、働きすぎて疲れてしまった若い人がたくさん訪れます。でも、訪れた人たちの悩みを受けとめ、励まし、送り出す先の多くは、やはり今まで働いていたのと同じような労働条件の職場。自分は、若者をひどい労働条件で働かせるお先棒を担いでいるのでは」という葛藤を抱えていた。
 若い人たちがまともに働ける状態にするには、「ただ働きをさせない」「残業を規制する」など、経営者に労働基準法を守らせるほか、低すぎる賃金を底上げするなど働く現場をまともにするための具体的な対処は不可欠。同時に、労働者も働くルールを定めた労働法の知識や職場のトラブルへの対処法を知り、働く現場を変えていくことが必要だ。
 小中学校の社会科の授業などでお金の使い方や経営の仕方を学ぶ機会はあっても、働く上で知っておくべき知識や権利を実際働くときに役に立つように学ぶチャンスはなかなかなかった。
 だから、この本には、必要最低限の働く知恵と法律知識、解決方法が盛り込んである。若い世代のフリーターも正社員も、そして中学生や高校生、大学生、その親や学校の先生たちにも理解してもらいやすいように、具体的な場面がイメージできるよう工夫した。
 登場する相談事例は、私が加入している「フリーターでも誰でも1人でも入れる労働組合(ユニオン)」のフリーター全般労働組合で相談を受けたり、取材で聞かせてもらった話、監修を担当してくれた首都圏青年ユニオンに持ち込まれた実際の相談内容を元にしている。
 働き方や業種を問わず、働きにくさが広がっているけれど、働いて生きのびる力をつけること、仲間と力を合わせて働きにくさを変えていくことのためにこの本を少しでも役立ててもらえたらとっても嬉しい。

 清水直子

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